借地上の建物を同族法人に移転する場合の税務(転借権の相続税評価)

【前提】

個人が借地権及び建物を所有している状況で、建物を同族法人に移転することは可能でしょうか。

結論、地主の承諾があれば可能であるケースが多いです。

 

【転借権の相続税評価】

借地権者が他人に土地を使用させる権利を転借権といいます。

では、個人が転借権、同族法人が建物を所有し、同族法人から転借人に通常の地代を支払い、無償返還に関する届出書を提出した場合、転借権の評価はどのようになるでしょうか。

結論は、個人が土地を所有し、同族法人が建物を所有している場合の取扱いと同じような考え方となります。

 

いわゆる、相当の地代通達の8において次のように記載されておりますが、転借権の場合は借地権を転借権と読み替えて評価することになります。

8 借地権が設定されている土地について、無償返還届出書が提出されている場合の当該土地に係る貸宅地の価額は、当該土地の自用地としての価額の100分の80に相当する金額によって評価する。なお、被相続人が同族関係者となっている同族会社に対し土地を
貸し付けている場合には、43年直資3-22通達の適用があることに留意する。この場合において、同通達中「相当の地代を収受している 」とあるのは「「土地の無償返還に関する届出書」の提出されている」と読み替えるものとする。
(注) 使用貸借に係る土地について無償返還届出書が提出されている場合の当該土地に係る貸宅地の価額は、当該土地の自用地としての価額によって評価するのであるから留意する

上記を根拠に、個人の転借権及び同族法人の転借権の評価は次の通りと考えられます。

転借権の評価
=自用地価額×借地権割合×100分の80財産評価基本通達30)

同族会社の株式評価上、同社の純資産価額に算入する転借権の評価(被相続人=株主である同族会社)
=自用地価額×借地権割合×100分の20×1-0.3

 

上記は税務上の取扱いとなりますが、法務上は借地人と建物の名義人が登記上同一でないと、借地権が否定され明け渡し請求されてしまうリスクがあります。これは、地主がその所有権を第三者に引き渡した際に起こるリスクとなりますので、慎重な判断が求められます。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

トップへ戻る