未収家賃と前受賃料の相続税にかかる取扱いについて

不動産賃貸を行っている方に相続が発生すると、未収家賃や前受賃料が発生します。

これらの相続税における扱いを解説します。

なお、ケースとして多いと考えられる、翌月分を当月末日までに支払う契約を前提に解説します。

分かりやすく次の前提を置きます。

①相続発生日 3月15日

②家賃受領日 Aからは3月11日、Bからは3月31日

この場合、それぞれの家賃の取扱いについて

 

(1)Aからの家賃の取扱いについて

こちらは翌月分の相続発生後の家賃を生前に受け取っているため、前受賃料となります。

前受賃料については、債務控除の対象となるか疑義が生じます。

結論は債務控除の対象とはなりません。

当該物件を相続した相続人は、被相続人が締結した賃貸借契約に基づいて、引き続き同条件で賃貸を継続すべき義務(債務)を承継したにすぎず、すでに支払期日が到来して支払われた家賃の未経過分相当額の賃料を返還すべき金銭債務は負ってません。

例えば、仮に相続発生後、3月末に急に退去することになって4月に住まなくなり返金義務が生じたとしても、あくまでも相続開始時点では確実ではなかったため、「理論上は」債務控除の対象とはならないと考えられます。しかしながら、これが相続発生時点で決まっていたのか、そうでないかの判断は極めて難しいため、実際に返金処理がされていれば、債務控除の対象にしても問題となるケースは少ないのでは、と考えられます。

 

(2)Bからの家賃の取扱いについて

当ケースにおける4月分の家賃の支払期日は3月末となります。したがって、相続発生時に支払期日が到来していないため未収家賃には該当せず、資産計上する必要はないことになります。

未収家賃として計上すべきケースは、例えば3月分の家賃を期限である2月末までに受け取らずに、相続が発生してしまったようなケースとなります。

 

今回は以上となります。

 

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