よくあるご質問の1つです。
親が子供にお金を貸す、子供が親にお金を貸す、親族間でお金を貸す、そのようなケースのお話です。
第三者間の貸借や個人と法人との貸借ではありませんので、ご留意ください。
また、生活費や教育費のその都度贈与は、そもそも贈与税は非課税となりますので、ご留意ください。
結論としては、ケースバイケースとなります。
まずは国税庁のタックスアンサーNO.4420を見てみましょう。
<国税庁 タックスアンサーNO.4420>
親と子、祖父母と孫など特殊の関係がある人相互間における金銭の貸借は、その貸借が、借入金の返済能力や返済状況などからみて真に金銭の貸借であると認められる場合には、借入金そのものは贈与にはなりません。
しかし、その借入金が無利子などの場合には利子に相当する金額の利益を受けたものとして、その利益相当額は、贈与として取り扱われる場合があります。
なお、実質的に贈与であるにもかかわらず形式上貸借としている場合や「ある時払いの催促なし」又は「出世払い」というような貸借の場合には、借入金そのものが贈与として取り扱われます。
(相法9、相基通9-10)
次に相続税法基本通達9-10を見てみましょう(相続税法9条は抽象的で分かりにくいため割愛します)。
<無利子の金銭貸与等>
9-10 夫と妻、親と子、祖父母と孫等特殊の関係がある者相互間で、無利子の金銭の貸与等があった場合には、それが事実上贈与であるのにかかわらず貸与の形式をとったものであるかどうかについて念査を要するのであるが、これらの特殊関係のある者間において、無償又は無利子で土地、家屋、金銭等の貸与があった場合には、法第9条に規定する利益を受けた場合に該当するものとして取り扱うものとする。ただし、その利益を受ける金額が少額である場合又は課税上弊害がないと認められる場合には、強いてこの取扱いをしなくても妨げないものとする。
ここで重要なのは、タックスアンサーでは、実質的に贈与であるにもかかわらず形式上貸借等としている場合、というのは事実認定の問題としています。一方で、相続税法基本通達9-10では、無利子で金銭の貸与があった場合には、利益を受けたものとして取り扱う(つまり贈与)としています。
いかがでしょうか、非常にわかりずらいですね。相続税法基本通達9-10は、無利子貸し付けは贈与と読めてしまいます。これは国税サイドの都合の良い解釈です。納税者は法律で解釈しますので、相続税法第9条で解釈します。つまり、結果として事実認定の問題と解釈できるのです。
例えば金銭消費貸借契約書を作成して、その内容が「無利息のある時払いの催促なし」でも、贈与税の課税ができるのでしょうか。そんな簡単にはできませんし、個人的には聞いたこともありません。
さらに、実務上は、国税サイドが相続税法基本通達9-10を無視して贈与していたものを貸付である、と主張することがよくあります。
逆パターンですね。
つまり、事実認定の問題ですから、どちらにでも転びうるのです。
その判断は一般の方では難しいかと思いますので、実際には相続専門の税理士等の専門家にご相談ください。