曖昧な取り扱いが、明確化されたということになります。多少の評価への影響はありますが、評価通達の計算方式が変わった数年前の改正ほどの大きなものではありません。
以下、税務研究会記事より引用しております。
国税庁は10月9日、非上場株式のみなし譲渡課税に係る時価の算定方法を定めている、所得税基本通達59-6の改正通達の趣旨説明を公表した(令和2年9月30日資産課税課情報第22号「『所得税基本通達の制定について』の一部改正について(法令解釈通達)」の趣旨説明(情報))。同情報では、非上場株式を譲渡又は贈与した個人の株主が譲渡等の直前に少数株主に該当する場合、配当還元方式で株式の時価を算定する取扱いを分かりやすくするための通達改正の趣旨が示されました。
【大会社は原則として「類似業種比準方式」で評価】
所得税法上,法人への贈与や著しく低い価額による譲渡については,時価で譲渡があったものとみなされる(所法59①)。この時価は,本通達により,原則として一定条件のもと,財産評価基本通達の非上場株式の評価方法(評基通178から189-7まで)の例により算定した価額とされている。
非上場株式の評価方法は、株式を贈与等で取得した株主が当該株式を発行した会社の経営支配力を持っている同族株主等であるか、それ以外の株主であるかの区分によって、原則的評価方式となるか,特例的な評価方式の配当還元方式となるか採用できる方法が異なる。
原則的評価方式では、評価する株式を発行した会社を総資産価額、従業員数及び取引金額によって、“大会社”、“中会社”又は“小会社”のいずれかに区分し、“大会社”は原則として「類似業種比準方式」によって評価する。また、“小会社”は原則として「純資産価額方式」で評価し、“中会社”は大会社と小会社の評価方法を併用して評価する(評基通179)。
類似業種比準方式では類似業種の株価に基づき、評価する会社の一株当たりの「配当金額」、「利益金額」及び「純資産価額(簿価)」の3つで比準して評価する。なお、類似業種比準方式による株式の価額は評価の安全性を図るために、比準価額に大会社=0.7、中会社=0.6、小会社=0.5のしんしゃく割合を乗じて評価することとしている(評基通180)。
【しんしゃく割合の取扱い等も示す】
同情報ではそのほか、類似業種比準価額を算出する計算で類似業種の株価等に準ずるしんしゃく割合の適用関係等も次の通り明らかにされている。
疑問①:類似業種比準価額を算出する計算において類似業種の株価等に準ずるしんしゃく割合は、実際の会社規模に応じた割合にするのか、小会社としての割合にするのか。
回答①:評価会社の株式の価額を評基通179の例により算出するときは「小会社」とするが、評基通180のしんしゃく割合は評価会社の会社規模に応じたものとする。
また、評価会社が有する子会社株式を評価する際の評価方法に係る次の取扱いなども示された。
疑問②:評価会社が子会社にとって「中心的な同族株主」に該当する場合にも、その子会社株式の価額は「財産評価基本通達178に定める『小会社』に該当するものとして」同通達179の例により算定することが相当ではないか。
回答②:評価会社が有する子会社株式の価額を算定する場合においても、子会社が「小会社」に該当するものとして「純資産価額方式」又は「類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式(Lを0.5として計算)」による価額とすることが相当である。