居住用不動産譲渡時の遺品片づけ費用は譲渡所得の経費として認められるか

親から居住用不動産を相続したケースで、家屋内を整理して不動産を譲渡するようなケースはそれなりにあると考えられます。

この場合の遺品片づけ費用は譲渡所得の経費として認められるか否か、という事例が争われました(国税不服審判所令和5年9月11日裁決)。

 

結論としては、認められない、と判断されました。

一般的に不動産を譲渡する際に、残存する構築物、動産等一切については売主の責任と負担で処分等して引き渡すような契約となっているケースが多いです。ただし、仮に不動産の引き渡し時において残存している場合には売主はその所有権を放棄して、買主が処分等しても何らの異議申し立てをしない、というような特約が書かれていることも一般的のようです。

そうすると、仮に売主が遺品整理をしなくとも、不動産の譲渡自体は実現していたと考えられ、それは客観的に見て、譲渡を実現するために遺品片づけ費用が必要であったとは認められないものと判断されました。

 

今回は但し書きのような特約が記載されていたため認められなかった事案ですが、これが売り主が遺品整理をすることを条件とするなどの契約であれば、結論は変わっていたのかもしれません。

 

また、そもそもですが、遺品を廃棄(整理)する目的であれば上記の議論となりますが、売却している場合には遺品一つ一つの譲渡所得の問題となるため、不動産譲渡とは別の論点になると考えられます。

 

(参考条文)

所得税法第33条第3項

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