法人の代表者が突然亡くなり取締役がいなくなった場合の決算、相続対応について

(1)決算対応について

本来であれば決算は株主総会を経て確定させるものですが、株主が死亡しており相続人が確定しない状況の場合には、代理で業務運営者の記名押印をもって税務書類の作成、提出による対応が考えられます。そして後日、正式に株主総会を開催して決算承認及び確定申告の提出について追認を受けるエビデンスを作成した方がより良いと考えられます。

株主総会を開催できないことが法人税申告の効力に影響があるかにつきましては、次の根拠により解決できます。

<H19年1月16日福岡地裁の判決>

決算がなされていない状態で概算に基づき確定申告がなされた場合は無効にならざるを得ないが、会社が、年度末において、
総勘定元帳の各勘定の閉鎖後の残高を基に決算を行って決算書類を作成し、これに基づいて確定申告した場合は、当該決算書類につき
株主総会又は社員総会の承認が得られていなくても、確定申告は無効とはならず、有効と解すべきである。」

(2)法人の相続対応について

まずは株主を確定させることを優先した方がよいと考えます。相続人間で株式の遺産分割を優先しておこない、株主総会を開催できる状況にするのがよいと考えます。株主が確定しないと、正式(法的)に代表者(取締役)を選任することができず、会社運営が不安定となります。会社法346条第2項では、裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、一時役員の職務を行うべき者を選任することができると規定しておりますが、利害関係人、つまり相続人である株主が確定しないと結局のところ役員は不存在の状況が続くと考えられますので注意が必要です。

 

そもそもこのような事態にならないよう、事前に対策を講じることが重要なことは言うまでもありません。

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