3パターンにわけて考えてみましょう。
①保険契約を締結して、年金受給開始前に相続が発生した場合
このケースでは、死亡保険金は相続税の非課税の対象となります。
また、死亡保険金は遺産分割協議の対象とはなりません。
②保険契約を締結して、年金受給開始後に相続が発生した場合
このケースでは、生前に年金を受け取りはじめており、すでに年金受給権という権利を相続することになります。
これは継続受取人が指定されていない場合には、遺産分割協議の対象となります。
継続受取人が指定されている場合には、該当者が相続または遺贈により取得することになります。
③保険契約を締結して、年金受給期間が到来したが受取を繰り延べる、いわゆる据置(繰延)期間中に相続が発生した場合
このケースでは、死亡保険金は相続税の非課税の対象となるケースが多いと考えます。
相続発生時に年金受給権が発生しているか(単なる預け金としての性質に変更となるのか)どうかは、保険契約の約款等により確認する必要があります。
ちなみにですが、一般的な保険契約の約款においては、もし年金受給権が発生している場合は死亡給付金(保険金)ではなく、死亡一時金という表現をしており、非課税枠が使用できる商品とは明確に区分していることが多いです。
つまり、保険金の支払明細書等に死亡給付金(死亡保険金)と記載されている場合には、非課税枠が適用できる可能性が高いと考えてよいといえます。
根拠法令
(相続税法3条)
次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該各号に掲げる者が、当該各号に掲げる財産を相続又は遺贈により取得したものとみなす。この場合において、その者が相続人(相続を放棄した者及び相続権を失つた者を含まない。第15条、第16条、第19条の2第1項、第19条の3第1項、第19条の4第1項及び第63条の場合並びに「第15条第2項に規定する相続人の数」という場合を除き、以下同じ。)であるときは当該財産を相続により取得したものとみなし、その者が相続人以外の者であるときは当該財産を遺贈により取得したものとみなす。
〔通達3-1~〕〔通達4-2〕〔通達5-5〕〔通達6-1〕〔通達55-2〕
- 一 被相続人の死亡により相続人その他の者が生命保険契約(保険業法(平成7年法律第105号)第2条第3項(定義)に規定する生命保険会社と締結した保険契約(これに類する共済に係る契約を含む。以下同じ。)その他の政令で定める契約をいう。以下同じ。)の保険金(共済金を含む。以下同じ。)又は損害保険契約(同条第4項に規定する損害保険会社と締結した保険契約その他の政令で定める契約をいう。以下同じ。)の保険金(偶然な事故に基因する死亡に伴い支払われるものに限る。)を取得した場合においては、当該保険金受取人(共済金受取人を含む。以下同じ。)について、当該保険金(次号に掲げる給与及び第5号又は第6号に掲げる権利に該当するものを除く。)のうち被相続人が負担した保険料(共済掛金を含む。以下同じ。)の金額の当該契約に係る保険料で被相続人の死亡の時までに払い込まれたものの全額に対する割合に相当する部分[令1]〔通達12-9〕
(相続税法12条)
次に掲げる財産の価額は、相続税の課税価格に算入しない。
- 五 相続人の取得した第3条第1項第1号に掲げる保険金(前号に掲げるものを除く。以下この号において同じ。)については、イ又はロに掲げる場合の区分に応じ、イ又はロに定める金額に相当する部分【通達63-1】
- イ 第3条第1項第1号の被相続人のすべての相続人が取得した同号に掲げる保険金の合計額が500万円に当該被相続人の第15条第2項に規定する相続人の数を乗じて算出した金額(ロにおいて「保険金の非課税限度額」という。)以下である場合当該相続人の取得した保険金の金額
- ロ イに規定する合計額が当該保険金の非課税限度額を超える場合 当該保険金の非課税限度額に当該合計額のうちに当該相続人の取得した保険金の合計額の占める割合を乗じて算出した金額