居住用の中古住宅を取得したときの不動産取得税にかかる床面積要件の考え方

今回は、交換の特例により相続人間の土地を整理し、建物については売買により持分を整理した事案のご紹介です。

交換の特例につきましては、所得税がかからなくなるという制度であることはよく知られている通りです。

 

一方で、不動産取得税についてはあまり検討せずに案件をすすめることもよくあります。税理士は受験勉強で習うものではないため不得意としがちで、その都度確認しながら進める方が多いかと思います。もっとも、都税事務所等が計算して納税額を決定することが通常の流れとなりますので、あまり気にしないのです。ただし、特例制度まで加味して計算してくれるかは、ケースバイケースのようです。

都内の自宅ともなれば、不動産取得税の軽減が適用できるか否かで数十万円、場合によっては100万円以上不動産取得税が変わりますので注意が必要です。

 

【前提】

Yさんは、土地の交換により居宅の敷地を100%取得すると同時に、親族から3分の1の持分を売買により取得することになりました(もともと3分の2の持分はYさんが所有していました。)。

Q.建物の総床面積は140㎡です。この場合、居住用の中古住宅を取得したときの土地の不動産取得税軽減制度は適用できますか?

A.適用できます。

都税事務所のQAを確認すると、要件は次の通りです。

(1)耐震基準に適合する中古住宅を取得する場合

【要件】以下のアからウのすべてを満たすこと

居住要件 個人が自己の居住用に取得した住宅であること
(住宅以外であった家屋を住宅にリフォームする場合は、取得前に当該リフォームが完了している必要があります。)
床面積要件 50㎡以上 240㎡以下
耐震基準要件
(①②のいずれか)
昭和57年1月1日以降に
新築されたものであること
昭和56年12月31日以前に新築された住宅で、建築士等が行う耐震診断によって新耐震基準に適合していることの証明がされたもの(ただし、当該証明に係る調査が取得日前2年以内に終了しているものに限る。)

ここで、イの床面積要件について疑問が生じます。今回建物の取得持分は3分の1であり、床面積に直すと、50㎡を下回るのです。

すると、適用要件を満たさずに、軽減が認められないようにも思います。

しかしながら、この場合の床面積要件は、当該建物の総床面積で判定するようで(区分所有者マンションなどは区分所有部分で判定)、持ち分によって判定するものではないようです。したがって、例えば当該建物の持ち分を、夫がもともと3分の2所有しており、今回妻が3分の1を売買により取得するようなケースであっても、軽減措置が適用されることになります。

 

今回は以上です。

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