税理士としては、やや違和感のある制度がいよいよスタートしております。
令和2年12月21日「令和3年度税制改正の大綱」 の閣議決定により
実印が求められる書類(例えば、不動産を含む遺産分割協議書)等を除く税務関係書類の押印の見直しが行われました。
正式な施行は4月1日ですが、 すでに押印が無くとも受け付けてもらえる旨が公式に発表されています。
新型コロナウィルスをきっかけに、無駄が省かれ、良い方向に進んでいると感じます。
実は、所得税の確定申告等では、実印の押印は求められておらず、認印でも可能でした。
国税の税務関係書類の押印は、国税通則法124条により必要とされていますが、実印は求められていないためです。
そのため、実務上、税理士や第三者が代理で認印を押すことも可能で、押印の意味合いがなかったと考えられます。
民法上も、契約に押印の義務というものはなく口約束でも成立しますが、「万が一契約内容について争いになった場合に備え、客観的な証拠を残すために」契約書が必要で、署名押印をすることでさらに証拠力を高めるのです。
そうすると、署名が一番重要で、押印はそれ以上に重要なものではありません(実印とはいえ、誰でも代理で押せますので、当然かと思います)。
一方で、代理で申告所等を作成する税理士の署名押印義務については税理士法第33条に規定されていますが、こちらは現時点では正式な情報はでておりません。
もちろん、電子申告は不要ですが、書面提出の場合は、押印が必要ということになります。
税理士が作成したという根拠を残すためにも、こちらの文化は残るのでしょうか。。。
確かに、そうしないと、似非税理士が代理で申告できてしまうため、難しいところなのかもしれません。
税理士としては、依頼者からの押印をいただくことが少なくなると考えられるため、依頼者との信頼関係やコミュニケーションがより重要になると考えられます。