借地権の設定されている土地の底地を取得した場合の税務上の取扱い

直近でご相談を受けた事例についてご紹介します。

 

【質問】

ある借地について、借地権者であるAと地主との間で賃貸借契約により地代の支払いをされていたところ、今年1月10日にB(Aの親族)が地主から底地を買い取って以降、地代の支払いをしておりません。この場合、何か税制上の問題はありますか?

【回答】

AからBへの借地権相当額の贈与の問題が発生します。

【理由】

借地権の目的となっている土地を、その借地権者以外の者が取得し、その土地の取得者とその借地権者との間で、その土地の使用の対価としての地代の収受が行われないこととなった場合においては、その土地の取得者は、その借地権者からその土地に係る借地権の贈与を受けたものとして贈与税の課税が行われます。

【対策】

その土地の購入後、その土地の使用の対価としての地代の収受が行われないこととなった理由が、使用貸借に基づくものでない場合、つまり、借地権者の地位に変更がない場合には、土地所有者は借地権者に対して、土地の賃貸料相当額を免除しているにすぎず、借地権者は借地権を放棄していないことになりますので、贈与があったということにはなりません。これを正式に税務署に対して主張する書類として、「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」というものがあります。こちらをしかるべきタイミングで提出することで、贈与税の課税を回避することができます。

 

一般の方は、このような税務リスクがあることの認識がなく、何もしないことが多くあります。

今回のご相談は、約6年前にこのような取引が行われ、Aに相続が発生しそうだ、というタイミングでAの相続税が心配になりいらっっしゃったのですが、ここで初めてBにもリスクがあることを認識することになりました。

贈与税の時効は原則6年、例外7年ですので、まだリスクがないことはないのですね。都内の借地権は価値が大きいことから、仮に贈与税の認定を受けてしまうと、1,000万円以上の税負担が考えられます。借地権が1億円であれば、半分の5,000万円相当の贈与税リスクがあるということです。これは怖いですね。

 

普段あまりない取引、かつ、金額の大きな取引をするときは、多くのケースで税務リスクが介在しますので、必ず税理士等専門家に相談しましょう。

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